人前で話すことについての覚書

某所に招かれて、学生の方々に話をする機会を頂いた。反省点しか無いのであるが、忘れないように――そして同じぽかをやらかす人が減るように――メモを残しておく。要するに「離見の見」を身に着けなきゃねという点に尽きる。申し訳ないなと思いながら貴重な体験になった。

・明快さと「遊び」
 枝に新芽が付くように、議論に入りやすい余地を残す技術はないだろうか。自分が提供できる情報を明快にする点はもちろんだが、新たな視点・多角的検討が入りやすい余地を残すにはどうするのがいいのかがなかなか難しかった。情報を消費するのではなく、情報を生み出す側として考える必要がある。

・知識量をぶつけるのではない
 相手が前提として知っている情報は何か?自分の知っている専門知識をぶつければ良い、というわけではない。
 楽器の演奏で自分がどんな音を出しているのかを意識しながら演奏する、管理された耽溺が重要なように、今語っていることに冷静に、聞き手の知識とどう関連するかを語る必要がある。
 そのためにも、自分の専門の余剰が大事。一つの専門ではなく複数の専門を持った上で初めて専門性が生まれる。例えば実定法がわかることの強み。法哲学と実定法をつなぐのはナニカ、という話で。これはね、辛いね。いや、うん。せめて単なる知識としても知っていることはやはり大事。勉強が物を言う。

・媚びは伝わる
 むやみにウケ狙いはよくない。かと言ってあたかも老人であるかのような語り方もまた鼻につく。聞き手の学生は20歳前後とは限らない。意図的に素直に語る。簡単なようで難しい。

私の場合は何事も失敗しないとわからないので、とても貴重な経験をしたと思っている。

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